『アラン使道伝』
아랑사또전
(アラン使道伝/Arang and the Magistrate)
前宰相の庶子であるウノは、消息不明の母親を探しに訪れた密陽(ミリャン)でひょんなことから記憶喪失の幽霊アランと出会う。幽霊が見えるというウノの能力に気づいたアランは、自分の死の真相を探るため彼に協力を依頼する。面倒に巻き込まれたくないウノは、自分を地方官“使道(サト)”にすることができたら協力すると無茶な条件を出すが、アランはある手を使って彼を使道に仕立ててしまう。そんな中、ウノはアランが持つかんざしから生前のアランと母との間に何かつながりがあるのではないかと疑い始め…。(衛星劇場)
●演出:キム・サンホ(『イルジメ外伝』『ファンタスティック・カップル』)
●脚本:チョン・ユンジョン(『ハベクの新婦』『ミセン』)
このドラマは、無念の死を遂げた娘の幽霊が恨みを晴らすため、新任の使道が赴任するたびに現れるという「アラン伝説」という韓国の密陽に伝わる怪談から着想を得たドラマです。
その怪談に、主人公が幽霊が見える設定や天上界やら死神やらファンタジー要素を加えて韓国ドラマらしくしたストーリー。
ちなみに使道とは、中央政府から派遣される地方官のことらしく、おそらく今でいう町長・市長レベルの役職の人かなとぼんやり認識しながら視聴しました。
結論から言ってしまうと、個人的にはあんまりハマりませんでした。主役がイ・ジュンギとシン・ミナで安定感ある演技なので安心して観れましたし、なんならこの二人はこの年のMBC演技大賞でベストカップル賞受賞してますし。
二人はよかったんですが、でもいまいちのめり込める要素がなかったし、観ていて違和感を感じる部分が所々あったように思います。
ストーリーは単純で、幽霊が見えるウノ(イ・ジュンギ)が行方不明の母親を探す最中、自分が母親にあげたかんざしを持った幽霊のアランに出会う。アランの死と母親が何か関係性があるのではないかと思ったウノは、アランと組んで、アランの死の原因と母親を探す、という話。
なんだけど、まず話の主軸になる登場人物が10人くらいで、ストーリーの主な目的がアランの死の原因とウノの母親を探すことだけなのにも関わらず、1時間×24話は長い。長すぎた。途中惰性で観てたわ。
密陽という地方で起きた連続殺人事件の解決も一緒にやっていくんだけど、登場人物が少ないから大体先が読めてしまう。
もうドラマの中の立ち位置として、はっきりきっぱりと善悪が分かれているので、早いうちからストーリー展開としても善が悪を成敗する展開しかないことが読めちゃう。
それならばそれで、キャラクターの一部が一癖二癖あるキャラクターであれば、惹きつけられるものがあったのかもしれないけど(『半沢直樹』『梨泰院クラス』のような)、そういうのもない。定型通り、みんな優等生な善、優等生な悪でした。
あと今回割と幽霊が当たり前に出てくるファンタジーでもあるのだけど、その幽霊と天上界(要するにあの世)の設定が、ショボ過ぎてすっごい違和感だった。
天上界の花が造花丸見えだったり、幽霊の演出が顔白塗りだけだったり、不気味さの演出がドライアイスの靄だけだったり・・・
うーんショボい。ふた昔前くらいのN〇Kの教育ドラマを観ているようだった。
一応2012年のドラマなので、もうちょっと没入感を高めるために頑張ってもらいたかったわあ。予算の問題上演出にお金かけられなかったのかもしれんけど。
一目でセットだわかる安っぽい天上界セット。
あと天上界や死後の世界観も、もう少しこだわって作ってほしかったと思う。結局幽霊、あの世の世界観って、一般的には誰も見えない正解がない世界の話なので、逆に自分の正解をこれだと決めて、もっと好き勝手こだわって作ってしまえばもっと面白味が増したのではないかと思う。
ていうか、ジャンルがファンタジーホラーなのだから、それくらい振り切ってオリジナルを作るべき。なんか過去作の寄せ集めというか、「こんなもんでいいよね」感を所々感じたわ。
ウノ役イ・ジュンギ
イ・ジュンギは、韓服とかこういう昔の衣装が本当に似合う。
今回も華麗なアクションを披露してたけど、イ・ジュンギ出演なら必ず派手なアクションシーン入れるのは暗黙の了解なのかな?なんにせよ、ごりごりにアクションできる貴重な存在。
アラン役シン・ミナ
今回は幽霊役だったけど、明朗快活な性格の役でもあったからあまり幽霊感なかったかも。というか、毎回明朗快活な役な気がする。シン・ミナの作品はまだ2~3作品しか見たことないけど、いつも同じような人に見える。
ジュワル役ヨン・ウジン
今作で一番印象に残ったのはヨン・ウジンの役。暗い過去を持つが故、二つの顔を持ち、秘密が多い。生きるために悪に手を染め、アランと出会ったことでやっと自分のしてきたことの罪深さを自覚するシーンなんか、見ていられなかったわあ。
たしかに悪いことはしてきたけど、断罪はできない、一番可哀想な役でもあった。複雑な役を演じるヨン・ウジンすごい。
(後ろにぽやっと映ってる爺さんは、可哀想とか一切ない強欲な悪爺さんw)