韓国ドラマの沼

鑑賞メモその他。新旧ごちゃ混ぜで視聴します。

『アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり』ラブコメというより家族ドラマ

   

『아이두 아이두』 

(邦題:アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり/英題:I Do,I Do)  

 

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 韓国放送期間:2012/5/30~2012/7/19(全16話)

 ブランドシューズのデザイナーとして活躍するファン・ジアン(キム・ソナ)は、周囲も認める仕事の鬼。がむしゃらに突っ走ってきた彼女だが、女としての機能は終了寸前と診断され、そのうえ、家族より仕事を優先する彼女に父が激怒。絶縁を言い渡されてしまう。すっかり落ち込んだ彼女の前に突然現れた、11歳年下のフリーター、パク・テガン(イ・ジャンウ)。彼もたったひとりの肉親である父親と大ゲンカしたばかりで、ふたりは寂しさを埋めるように、一夜限りの関係を持ってしまう。ジアンは想像もしていなかった。予想外の妊娠で輝かしいキャリアが揺らぐことも。若く美しい副社長のヨム・ナリ(イム・スヒャン)の登場で、社内の権力争いに巻き込まれることも。見合い相手の産婦人科医のチョ・ウンソン(パク・コニョン)が、猛アタックしてくることも!! 仕事にすべてを捧げてきたジアンは、怒濤の展開をどう乗り切る!?
  出典:TBS韓流☆セレクト 
 
キャスト・スタッフ
 ●ファン・ジアン:30代後半。シューズブランドデザイナー
   / キム・ソナ(『私の名前はキム・サムスン』『品位のある彼女』)
 ●パク・テガン:27歳。父親とイミテーションシューズ製造業を営む。
   /イ・ジャンウ(『笑ってトンへ』『たった一人の私の味方』)
 ●チョ・ウンサン:産婦人科医。ジアンとはお見合いで出会う。
  /パク・コニョン(映画『風の国』『レディの品格』)
 ●ヨム・ナリ:ジアンが働くシューズブランド会社の副社長。ジアンをライバル視する。
  /イム・スヒャン(『私のIDはカンナム美人』『パラダイス牧場』)
 他
 
 ●演出:カン・デソン(『マイ・プリンセス』『黄金の虹』)
 ●脚本:チョン・ジョンファ(『天国への扉』『サンシャイン・オブ・ラブ』) 
 
感想

視聴してから大分時間が経ってしまい、細部を忘れかけています。ざっくりした感想になりますがご容赦を。

 

ブコメというより家族ドラマに近い
視聴前と序盤はラブコメの女王キムソナのための、ラブコメの女王によるラブコメだろうな勝手に決めつけて観ていましたが、終わってみればこれはラブコメではなく家族ドラマに近いドラマだと解釈しました。
 
キム・ソナを巡る一番手と二番手が、イ・ジャンウとパク・コニョンなんですが、二人と出会ってわりとすぐにキム・ソナの妊娠がわかるので、男性二人のアプローチが恋人としてというより2段飛ばして父親としてのアプローチするんですね。
なんでひとによっては、ときめき・キュンキュン要素が少なく感じて、つまらなく感じるかもしれまんせが、恋人としてというより、これから生まれる子どもの父親になる前提で二人がそれぞれアプローチするのは新鮮さを感じました。
また、余談ですが最近のわりとシングルマザーにアプローチする作品(『椿の花咲く頃(2019)』『天上の約束(2016)』『ロマンスは別冊付録(2019)』)は最近多いように感じてましたが、妊娠中の女性にアプローチするドラマはそんなに見たことがないので、そういう点でも新鮮に感じる作品でした。
 
また突然の予定外の妊娠にキム・ソナが、産むのかどうか悩むところもこのドラマの共感できるおもしろポイントだと思います。
こう書いていると、予想外の妊娠したにも関わらず二人の父親候補の間で揺れるなんて、なんかお気楽な主人公だなあと思われるかもしれませんが、そうではなく。
(少々ネタバレになりますが)キム・ソナは、二人の男との恋愛とお腹のお子の母親としての責任は別で考え、どうなろうとも自分で産み育てるという意思は、妊娠発覚から最後まで一途にぶれません。
ここで苦悩する主人公に対して共感するだけでなく、主人公に対する尊敬の眼差しや応援する気持ちも視聴者として生まれますから、キム・ソナさんはアラフォー女性としていい役を演じているなあと思いました。
 
 
あとは、それぞれの登場人物とその家族関係を比較して描いていた点も家族ドラマと捉えた理由の一つでもありました。
キム・ソナとイム・スヒャンは、才色兼備で物理的には裕福でありますが、家族とすれ違ったり、複雑な家庭環境にあったりします。
一方でイ・ジャンウの家庭は裕福ではないですが、シングルファザーの父親とは今でもプロレスごっこするほど仲が良く、親子間の絆は深いように見えました。
スペックや家庭環境が対極にあるイ・ジャンウに関わっていくことで、キム・ソナとイム・スヒャンは改めて自分の家族に向き合い、自分なりに改善、成長していく姿は見どころの一つでもあると思います。
イム・スヒャンは、一応役どころとしてはキム・ソナのライバル役ではあるんですが、(役のオンオフともにw)キム・ソナの圧倒的なオーラに負け気味・・・年齢もあると思いますが、ライバル役としては物足りなさはありました。

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まだ初々しさが残るギャルスヒャン

それでも自分よりキム・ソナを評価する継母(会長夫人)に認めてもらおうと頑張ったり、イ・ジャンウと屋上で二人になった時の垣間見える素の姿には、どこか憎めない要素があって、これはこれで個人的にはなんか好きな役柄でした。

 

ホームドラマという程、ファミリー要素が強いわけではないんですが、家族になることについて考えさせられる温かさがあるドラマでした。

また、このドラマがきっかけで初めて知り驚いたのは、つい最近まで韓国では、中絶自体が違法行為だということ・・・個人の勝手なイメージですが、女性の権利やキャリアについては韓国は日本より先進的イメージがあったので、女性を取り巻く環境については、それぞれの国でまだまだ解決すべき問題があるのだと勉強になりました。

jp.yna.co.kr

つい最近法改正により、少し緩和されたようですが、堕胎罪という罪は現状存在するようです。(堕胎が罪になるという字面が強すぎて、ちょっとこわい・・・w)

しかしこのドラマではキム・ソナがキャリアのために中絶を選択肢に入れて悩む場面も実際にあったので、外側からだけでは理解することのできない闇の深さや実情がありそうですね。