韓国ドラマの沼

鑑賞メモその他。新旧ごちゃ混ぜで視聴します。

『君を守りたい~SAVE ME~』二重の閉鎖的な環境

  

ミスミダ~!

 

『구해줘』 

(邦題:君を守りたい~SAVE ME~/英題:Save Me)  

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あらすじ 
 田舎の山奥にあるカルト教団に洗脳される家族。
 
 
キャスト
 ●ハン・サンファン
   / オク・テギョン(『キスして幽霊!』『ドリームハイ』)
 ●イム・サンミ
   /ソ・イェジ(『サイコだけど大丈夫』『無法弁護士』)
 ●ソク・ドンチョル
  /ウ・ドファン(『マッドドッグ』『私の国』)
 ●ペク・ジョンギ(カルト集団教祖)
  /チョ・ソンハ(『トキメキ☆成均館スキャンダル 』『アスダル年代記』『ファンジニ』)
 他
 
 
感想
ブログ書くために内容を思い出そうとYoutubeで動画を漁ってたんですが、日本のDVDリリースのプロモーションと実際の内容と正反対過ぎて笑ってしまいましたwこれは一種の詐欺かもしれないw


「君を守りたい~SAVE ME~」5月2日DVDリリース!

上の動画を見ると学生同士のさわやかな青春群像劇に見えますが、実際はさわやかどころか全編田舎特有の鬱屈とした雰囲気漂う、とある田舎町で起こるカルト集団との抗争を描いた内容です。

予告では”本格ヒーローラブサスペンス”なんて言っちゃってますが、ラブ要素は2%くらいしかないwこの予告を鵜呑みにして視聴した人はご愁傷様です・・・w

  

要するに山奥のお城に捕らわれたお姫様を助け出す物語という至極単純なディ○ニープリンセスのようなストーリー。だから上の動画予告の”ヒーローサスペンス”という部分はあながち間違いではないですが、その山奥のお城というのがカルト集団のアジトなんですよね。(カルト集団が絡むデ○ズニープリンセス映画・・・最近低迷気味なデ○ズニー映画の新境地を開くには斬新な題材かもしれないw)

 

父親という偶像からの脱却 

事業に失敗した父親のせいで、家族総出でソウルから”ムジ郡”という田舎町に引っ越すことから事の発端は始まってるんですが、この発端となった父親が最初から最後まで優柔不断で頼りない父親で。

そもそも縁もゆかりもないムジ郡に家族を道連れにしてまで引っ越してきた意図が謎だし、少しネタバレになりますが、先頭切ってカルト集団に入団しようと言い出すのもこの父親です。

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優柔不断さが顔に出てるサンミの父親(チョン・ヘギュン)

家族でカルト集団に入団してからも、娘のサンミの言うことよりもカルト集団の運営陣の言いなりで、自分の妻をカルト集団に実質的な人質にされても、カルト集団側の立場で娘を説得しようとしてくるどうしようもない父親(洗脳されているともいう)

 

どうしようもない父親と言えば、サンミを助けようと奮闘する高校の同級生たちの父親もなかなかのどうしようもなさでして。

自分の出世しか頭にないムジ郡の郡守であるサンファンの父親(ソン・ビョンホ)

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警察官でありながらカルト集団と裏取引するジョンフンの父親(キム・グァンギュ)

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ドンチョル(ウ・ドファン)の父親は働かず酒浸りの上、行方不明になってしまいます。(あんまり出てこないので画像はなし)

 

最初のうちはそれぞれの父親に頼ってサンミを救出しようとするんですが、作戦を実行していくうちに、父親たちの真実を知ってしまうんですね。

父親の真の姿にショックを受け、自分の信じていた父親の姿は偶像だったと知る。そのギャップに葛藤しながらも自分たちの力だけどうにか救出しようと自立していく様を描いたのは、父親という偶像からの脱却がこのドラマのテーマの一つにあるのではないかと思いました。

カルト集団”救船院”の教祖ペク・ジョンギも”新天国の父”と呼ばれ、信者たちの偶像の役割を果たしていますし、そう考えると色々繋がります。カルト集団からの脱出というストーリー自体も、実はそのテーマの暗喩かも?とも考えました。

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白髪にして危険な教祖役に挑んだチョ・ソンハ。
この方、史劇の王や役人など信頼ある役が多いイメージだったので、こんな胡散臭い役は意外でしたがハマり役でした。
 
 
ラストは、まあ予想通りのお約束パターンという形で終わるんですが、カルト集団”救船院”は完全に解体されるわけではなく。やはり偶像を偶像として信じたままじゃないと生きていけないという人たちも中にはいるわけです。微妙に後味が残る終わり方がスリラーっぽくよかったと思います。
 
一つ言わせてもらうのであれば、本心が見えにくい登場人物たちがいたこと。
使徒と呼ばれている教祖の側近№1(パク・チヨン)も

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側近№2(チョ・ジェユン)も

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洗脳されて主体性を失ってるという役どころではありますが、もう少し人間味が見えると面白かったのではと思います。お二人ともカルト集団幹部特有の胡散臭さはぷんぷんさせていました。

 

あとヒロインの彼女も「助けてほしい」以外、周りに対してどう思ってるのか謎で。囚われたことないのでわかりませんが、芯の強さは垣間見えるものの、大体ぼーっとしてるように見えました。

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映画の沼の民出身としてはカルト映画の基準を持ってくるといまいちカルト集団の狂気具合が足りなくて、個人的には物足りなさを感じましたが、カルト集団が排他的な田舎に拠点を置いているという設定は、ストーリー展開のちょうどよいハードルとして作用していて、なかなか見ごたえがありました。
後半でサンミと同級生のサンファンたちが再会、サンファンたちがカルト集団と接触するしてからは、先が気になる面白さがあり一気見してしまいました。(6~7話あたりまでは我慢が必要だよ)
 
ちなみに見終わった後に、頭の中で「믿습니다~!(ミスミダ~!)」が鳴り止まないことに関しては責任とれませんのでよろしくお願いいたします。
 
 
 
概要

 放送局:OCN

 韓国放送期間:2017/8/5~2017/9/16(全16話)

 

 監督/演出:キム・サンス

 脚本:チョン・イド(『アイテム』『他人は地獄だ』)

 原作:『out of the world』チョ・グムサン作ウェブトゥーン

 
 
個人的評価(5段階)

 設定:★★★★☆(4.0)

 キャラクター:★★★☆☆(3.5)

 ドキドキ:★★★★☆(4.5)

 泣ける:★★★☆☆(3.0)

 キュン:★★☆☆☆(2.0)

 OST:★★☆☆☆(2.5)

 TOTAL:★★★★☆(4.0)

 

 

感想のところで書き忘れちゃったけど、今回もウ・ドファンは難しい役どころをこなしていい仕事しています。案の定主演のテギョンまで食っちゃってますし。

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万人受けするイケメンではないんでしょうけど、俳優として独特のオーラがある方だなと思います。