韓国ドラマの沼

鑑賞メモその他。新旧ごちゃ混ぜで視聴します。

『ウチに住む男』キム・ヨングァンの見守る愛

  

우리집에 사는 남자

(邦題:ウチに住む男/英題:Sweet Stranger and Me)  

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そそっかしいが、制服を着るとどんなに大変な仕事でもてきぱきとこなす客室乗務員5年目のホン・ナリ(スエ)。9年付き合った恋人チョ・ドンジン(キム・ジフン )のプロポーズを受けた瞬間、母親ジョンイムが事故死したという知らせを受ける。悲しみからようやく立ち直りかけた頃、恋人ドンジンと、後輩ト・ヨジュ(チョ・ボア)の浮気現場を見てしまう。ショックを受けたナリの頭に浮かんだのは、母親と暮らしていた実家。しかし、母親の死から10ヶ月ぶりに訪れた実家には、コ・ナンギル(キム・ヨングァン)と名乗る見知らぬ男が住んでいた! しかもナリの母親と結婚したから自分はナリの義理の父親だと言うのだが…。そんな中、ナリの実家の土地を狙うクォン・ドッボン(イ・スヒョク)という実業家が現れてー。(カルチュア・パブリッシャーズ) 

 

●演出:キム・ジョンミン(『不滅の恋人』『朝鮮ガンマン』『千万回愛してます』)

●脚本:キム・ウンジョン(『となりの美男』『オー・マイ・ビーナス』)

●原作:ユ・ヒョンスク(ウェブトゥーン『ウチに住む男』)

 
感想

視聴前はそれほど期待してませんでしたが、めちゃくちゃおもしろかったです。設定は韓ドラあるあるが多く、目新しいものは特になかったけど、その設定の使い方が上手くて最後まで飽きることなく視聴できました。

全体的にはラブコメ+ファミリードラマなんですが、とにかくキャストに秘密が多くて、それを探るミステリー感覚が物語を飽きずに視聴できる要素の一つでもありました。

ホン・ナリ(スエ)が久しぶり実家に帰ると、謎の男コ・ナンギル(キム・ヨングァン)が実家に住み着いている。謎の男は自分の母親と結婚していて、自分の義父だと言い張るけどなぜ母親は自分と年端の変わらない男と結婚したのか?この男の目的は何?しかも謎の男には裏の顔がありそうで、自分とも過去に関係あったみたい?

・・・みたいなね。

ネタバレ回避のため詳しくは言えませんが、コ・ナンギルがその自分の母親と結婚した理由が、結局は回りまわってホン・ナリのためだということがわかった時、

それがコ・ナンギルのホン・ナリへの愛し方だとわかった時、めちゃくちゃ感動しました。並大抵の人間にできることじゃない、なんて深い愛なんだ、とね。

体を張って銃弾から刃物から守ってくれるヒーローも勿論かっこいいんですが、目先のことより相手の人生全体を考えて行動に移せる人ってそうそういないと思うんですよね。もしかしたら今年観た韓国ドラマのヒーローの中で、一番かっこいいナムジャだったかもしれない・・・現実にいたら絶対惚れてしまうと思いますw

 

けど、だからこそそれがじれったくもありw

コ・ナンギルは今までそういう見守る愛を続けてきたので、いざホン・ナリと気持ちが通じ合った時も、普通の男女の付き合いに一歩踏み出せない。

実際コ・ナンギルはホン・ナリの母親と婚姻関係にありますし、ホン・ナリを想ってとった行動が、巡り巡って結局は二人の関係の進展の足枷になってしまう・・・この設定がこのドラマの最大のおもしろポイントでもあり、ヤキモキポイントでもあるんですよね。

大体のラブコメのラブラインは、大体10~12話(全16話の場合)で二人の気持ちが通じ合ったあとは二人のラブラブシーンか周りの反対による消化試合という感じだと思いますが、このドラマは気持ちが通じ合った後も、すでに二人の目の前に用意されたゴールテープをなかなか切ろうとしないんですよね。

結局最後の最後ギリギリまで、二人の展開がわかならいまま最終回を迎える。

観る人によってはそれがじれったすぎてつまらないかもしれないですが、自分はホン・ナリと一緒にそのなかなか思い通りにいかない状況にヤキモキするのが楽しかったです。むしろ後半の視聴意欲はそこにかかっていたと言ってもいいくらい。

 

あとはコ・ナンギルもホン・ナリもどちらも生まれが財閥出身などではなく、一般庶民である点もよかったと思います。

好きになった人が、自分の母親の夫であり義父というのはかなり突飛な設定ですが、実際の二人の間のやり取りなどは等身大の大人の恋愛という感じなんですよね。二人の気持ちの終着点も結局は二人次第という点も、恋愛のリアルさを感じました。(最近、財閥×貧乏、王×貧民の格差設定に若干食傷気味というのもある気がします…w)

 

「オー・マイ・ビーナス」(15年)の時も思いましたが、キム・ウンジョン作家の描く大人の恋愛、いいですね~。

ストレートで目立つような決め台詞を言わせることはありませんが、自然体ででも時折ハッとさせられるような台詞を入れてくるんですよね。今回もありました。コ・ナンギルの台詞です。

あとはその作品毎に耳に残るようなマスコット的な台詞を作るのも特徴。

今回はコ・ナンギルの「餃子の皮作ってくる」。話を切り上げたい時、都合が悪い時によく言ってましたw(オー・マイ・ビーナスではセクシーてんこ盛りくん、かなw)

これも視聴者に愛されるドラマにしようという工夫だと思います。
  

キャスト
大型犬みたいなキム・ヨングァン、かわいいです。

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前回観たのは「ピノキオ」(14年)でマザコンの若干可哀想な役であまり気にしてなかったんですが、今回のコ・ナンギル役はめちゃくちゃ当たりだと思いました。

ガタイがいいので、田舎に住む頼りがいのある堅実な男役ぴったり。ホン・ナリを遠くから見守る男、かっこよかったです。
一方で照れる姿もかわいくて、なんかこの人だとへらへら笑う姿も許せちゃう。(キム・ヨングァンのへらへら笑顔をもっと観たい人は「君の結婚式」(18年)という映画もおすすめです。)
あと今回は衣装さんがキム・ヨングァンの素材の良さをわかってる衣装選びをしているなと思いました。モデル出身なだけあって基本何でも着こなすんですが、タートルネックとかロングコートとかスウェットのセットアップとか、もともとのビジュアルの良さを更に引き立てるながらも、田舎住み設定を壊さないよう派手過ぎない衣装、毎回の楽しみでもありました。
 
 
日本で涙の女王と言えばチェ・ジウらしいですが、韓国で涙の女王と言えばスエらしいです。(チェ・ジウの話も知らなかったぞ。)

このドラマで初めましての方だったんですが、顔立ちや声のトーンからして、ラブコメよりはメロドラマや時代劇の方が合ってるんじゃないかなと思いました。実際このドラマも挑戦的な意味で出演したそうです。
 
 
正直、主役二人が華々しい印象というよりかは落ち着いた印象ですので、ドラマ全体も初めは地味な印象(言葉を選べー)でしたが、そこにビジュアルで華を添えていたのが助演のこのお二方だと思います。

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チョ・ボアとイ・スヒョク。このお二人、ビジュアル面でもキャラ的な役割でも最後までめちゃくちゃいい仕事していたと思います。 

特にチョ・ボア演じるト・ヨジュが、まあ最初はいけ好かない奴で。冒頭、女狐と呼ばれてホン・ナリの彼氏を奪っても、平然としてるんですよ。厚顔無恥な女。
でも逆にめちゃくちゃ振り切ってるので、見てて気持ちがいい。途中からなんならヒロインのホン・ナリより好きだったし、最近観たドラマの主人公のライバル的な立ち位置に少し物足りなさを感じていたところだったので、久しぶりにいいなと思う人が出てきてうれしかったです。(チョ・ボアは2019年くらいヒロイン役務めるようになって、今も九尾狐伝(20年)でヒロイン役やってます。)
 
イ・スヒョクは毎回二番手で報われない男というイメージが定着しつつあるなあ。でも今回はなんだかんだ人情味溢れる役で、それが見た目とのいいギャップを生んでいました。
 
そしてね、後半のこの二人のラブラインが本当によくて。前半の展開からは想像できない二人の展開が意外性があってよかったですし、なんなら個人的に主演二人のラブラインよりこっちの方が気になりまくりでした。美男美女大好きですしw

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利害関係にかこつけて、やたら電話し合う二人が好きだったw

 

 

あ、あと個人的に好きなウ・ドファンも出てました。

今回はチンピラ闇金業者の頭役。コ・ナンギルとの対比的な大事な役割。

彼もコ・ナンギルも被害者ではありましたが 、コ・ナンギルは被害者から自ら脱した人間、ワンシク(ウ・ドファン)はギリギリまで抜け出すことができなかった。かわいそうな役柄でした。

それにしても髪型どうした。

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김종국 (kim jong kook)- (바보야 - fool) 우리집에 사는 남자 (the man living in our house) OST

お気に入りのOST。このドラマの温かい雰囲気にぴったりで最近よく聞いてます。